郡美矢(こおり・みや)さんのこと
(撮影/安部まゆみ) 2年がかりで、企画からお手伝いした『あなたは見えないところで愛されている』(角川書店/郡美矢著)が、発売1ヶ月半で、5千部重版が決まりました。これは涙が出るほど素直に嬉しい。 お読み下さってありがとうございます。 美矢さんは、ろうの牧師です。しかし、極論すれば、できないことは何一つないと言っていい。 単身アメリカに渡り、歯科医院で働きながらアメリカ手話(まず英語を習得しなければ、手話はできません)を学び、ノースセントラル大学に入り直し、聴者の学生に交じって勉強。首席で卒業します。クリスチャンの劇団で世界を回った後、マクダニエル大学大学院でろう教育を学びました。 現在は広島の教会で牧師を務める傍ら、国内でも10人いるかいないかといわれる国際手話通訳者として、世界の国際会議で活躍しています。 こう書くととんでもない秀才ですが、会うとなにしろ明るくて朗らか。こんな牧師がいるのかというほどひょうきんなのです。話せば話すほど誰もが好きになります。 私は兵庫の教会に通い、東京で語り合い、彼女と話していくうちに、もう最後には、なんの縁もないのにキリスト教に入信してしまおうかと思ったほど(笑)。 それほど彼女の言葉は慈愛に満ち、たしかな思想に裏打ちされた深いものだったのです。 ★★★ まず自分を大事にして。日本人はがんばりすぎる。自分をなくすほどがんばっても、いいことはなにもない。まず自分を大事にする人が、他人を大事にできるんだよ。 死を前に震えている人がいたらできるだけ駆けつけてそばにいき「神様は苦しみも哀しみもない天国を用意して待ってくれているよ。死の世界の先に必ず希望の世界があるから信じて祈ろう。いままでよくがんばってきたね」と声をかける。 本当に心が弱っている人がいたら、メールではなく、どんなに遠くても逢いに行く。そしてそっとそばによりそい、「がんばれ」ではなく、じっと話を聞く。それだけでいい。それが本当の友だちだよ。 ★★★ 46歳の美矢さんから教わったことは数え切れないほどある。 人の本をお手伝いするのはおそらくこれが最後だろう。 最後に本当に尊敬できる心の美しい人と出会えた。その幸運に感謝したい。 これから新聞各紙やテレビに彼女が登場します。彼女の言葉に少しでも 興味をもたれたらぜひ、本書をお読みいただければ幸いです。