あんみつとおじさん
新刊の版元の営業の方が、「面白い」と言って読んでいらしたと聞き、大変気持ちがアガっている。
20年ほど前、平凡社のもうすぐ定年という営業部のMさんにお願いして、書店周りに同行させていただいた。
初めて書店員の皆さんが恐ろしいほど忙しいことを初めて知った。Mさんは書店ごとの特徴や、暮らし・エッセイの担当者さんの性格まで歩きながら教えてくれた。「あの店は、本を汚されやすいんだよー。でも担当の◯◯君が話の分かる人だから、飛び込みで行ってみようか」なんて。汗を拭き拭き、途中あんみつを食べたり、お茶をしたり。
編集部にの営業部にも、まだぎりぎりそんな時間と心のゆとりが残っていた。
結局Mさんの退職後も年に1、2度会う年の離れた飲み友に。本は沢山の人の情熱によって、読者の手に届いているのだと、改めて知った貴重な1日。その平凡社から、5月27日発売。Amazonで試し読みも公開中です。
撮影 安部まゆみ
装丁 名久井直子
編集 野崎真鳥(平凡社)