潔い2冊

圏外編集者

都築響一さんの『圏外編集者』を読んだら、奇しくも村上春樹さんの『職業としての小説家』と同じことが書かれていて印象に残った。それは「読者を想定して書かない」ということだ。編集者と小説家ではあるが、私から見るとこのふたりは不思議と共通点が多い。ひとりでアメリカで勝負した経験があること。唯一無二の視点と世界観と文体を持っていること、などなど。
この2冊は、別々の編集者から「読んだ方がいい」とアツク薦められた。腹をくくって書くとはこういうことなのだなあと、しみじみ感じ入る。

1月のサザエさん。

「おかん。これは無理。食えねー」
と、夜遅く帰宅した息子が差し出した箸箱には、箸が1本・・・。
逆によく気づかず1本だけ入れたものだと自分に感心をした。
箸そのものが入っていないこともよくあるので、息子は持参前に、箸箱をカラカラと振って確かめるのだが、今朝は音がしたので安心したらしい。
「そんなの知らん。じゃ自分で作れ」というと、小遣いを貯金中のどケチな息子は黙った。いい加減、慣れろこんな母親にという話である。

Best of 京都土産

2016-01-19 22.53.20

2014-08-31 17.31.43

夫が仕事で京都へ。
ロケやらなんやらで何十回と通い、おまけに東山区出身。にもかかわらずお金のない19歳までしかいないので、おいしいところを聞いても「天下一品」か「王将」しかでてこない。しもきたにも三茶にもありますから、それ。

そんな京都音痴の夫にオーダーする土産は試行錯誤の繰り返しだった。原了郭の黒七味もそうそう減らないものだし。
しかし、ここ数年やっと定着した。新幹線構内でも買える、何度食べても激しくおいしい鉄板京土産マイベストは
「抹茶ゼリイ」(中村藤吉本店)。

そこに今年加わったのが、六曜社珈琲店のコーヒー豆である。取り寄せが出来ず、店に行かないと買えないので、「有り金全部はたいて買ってこい」というミッションを発令。買い占めたら恐縮なので事前に電話をしてから行けというアドバイスも添えた。
こんなおいしい豆は、名古屋のペギー以来。これで冬をシアワセな気持ちで乗り越えられる。

あとは、錦市場の有次で300円足らずの菜箸を年1回買い替えられればわたしの京土産は完璧。
しかしどれも安い。安すぎる。安上がりな自分がなんだかちょっと悔しいがしょうがない。おいしいのだもの。

再びの悪夢に。

スキーバス事故。30年前、犀川スキーバス転落事故で、私は同じ大学の仲間と教授25名を失った。暮らしていた学生寮からも何人も死者が出た。バスは川にダイブし、厳寒の犀川から救助された後輩が、寮で洗濯機の水流を見たとたん震えだし卒倒しそうになったのを覚えている。事故から何ヶ月か経ったときのことで、それほど長い時間が経っても、恐怖のトラウマは消えないのだと知った。
魔のS字カーブ、深夜の雪道にもかかわらず普通タイヤにチェーンだけの軽装備、そしてバス運転手の過密労働が原因だった。
今回の報道で、格安のツアー料金を見て直感的に思った。再び、劣悪な労働環境と経済競争の論理が生み出した闇が、未来ある若い命を奪ったのではないかと。

今回の事故で、息子の高校のサッカー部の先輩が天に召されたことを知った。青学高等部から退路を断ち、早稲田に進んだ気骨ある青年だった。
あの日も今日のように寒い日だった。犀川の水はどれだけ冷たかったことだろう。軽井沢の暗闇の雪道に投げ出された若者たちはどれほど恐くて痛くて寒かったことだろう。

学生だった私は母になり、事故で我が子を失った親御さんの気持を思って苦しくなるほどの年齢になっているのに、経済の論理は何も変わっていない。人の命を預かる職の人間が、「客が少ないから最低賃金よりもっと安く」などと絶対に業者に命じてはいけない。安ければなんでもいい、末端労働者が泣けばいいという論理はノーモアだ。