予言

腹筋をしていないとビリビリ知らせてくれるダイエットベルトを通販で買った。3500円。届いたのはおもちゃみたいなプラスチックのぺらぺらのメジャー。それを腹の上に締めて、さきいかをたべながら(低カロリーなので)原稿を書いている私に、娘が
「中途半端に痩せたいと思いながら、へんなダイエット商品にお金払って、チョコとかちょっと我慢して生きるのと、ダイエットを忘れて食べたいもの食べながら自由に生きるのと、ママの人生って、結果そんなに変わらないと思うよ。だったら損じゃん。我慢するの」と。
つまり、あんた痩せないよ、という予言である。女子はシビアよのう。

ペコロスの母に会いに行く

下高井戸シネマで『ペコロスの母に会いに行く』を観る。今年度キネ旬1位。

バツイチ、はげちゃびんの息子と認知症の母の実話を元にした物語。最初から大笑いして、気づいたら満席の観客みんなで最後に号泣していた。大資金も大宣伝もまったくかかっていないインディーズみたいな映画。でもスタッフも役者も超一流。私なら、真木よう子さんでなく、赤木春恵さんに主演女優賞を、原田喜和子さんに助演女優賞をさしあげるがなあ。って、あそこにいた観客全員が思っていただろうな。こんなすごい映画を迷いなく1位に選ぶなんて、すごいぞ、キネ旬。

老若男女をこんなに笑わせて、泣かせて、まるで現代の寅さんじゃん!と思ったら、監督は『男はつらいよ』シリーズの初期の助監督と脚本を手がけた森崎東さん。傑作と言われる3作目『男はつらいよ フーテンの寅』の監督を務めた人だった。長崎の原爆も、介護の苦しみも、あんなふうに、変化球でさらっと描いたら、さらっとしているだけよけいにその哀しみが深くなるという人の心理をわかっている。やっぱり、寅さんってすごかったんだなあと、あらためて寅さんが映画界に残した遺産と遺伝子の凄さを再確認する。森崎さん、87歳。次の作品も絶対待ってます、私。

先生の涙

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息子、高校卒業式。教室で一人一人に言葉を添え、卒業証書を渡しながら、担任の先生(男性、50代)の目はだんだん潤んでいき、最後には黒板を向いて肩をふるわせて泣いてしまった。「担任をさせてくれてありがとう」といいながら。生徒も泣いていた。
痴漢とか体罰とか、教師は悪いニュースがあるとすぐ取りざたされるが、その何千倍、何万倍ものいい先生が全国にごろごろいて、けれども、どんなにすごい熱意で、いい教育をしても、それはニュースにはならない。こんな、終わりのない、はてしなくしんどい仕事はないと思うが、日本の教育は、こういう市井の一人一人の先生の努力と情熱によって支えられていることを忘れちゃだめだと、今日しみじみ思い知った。
この先生は、息子がケガで入院したとき、授業が遅れたらかわいそうだからと、公務が終わってから、教科書を持ってたったひとりに教えるために遠い病院まできてくれたのだった。そのとき、先生と話したことがきっかけで、息子は進路を決めた。
良い師と友に巡りあえた彼の幸運に心の中で感謝しながら、二度とくぐることのないであろう校門を出た。
6年通わせると情が移る。生徒でもないのにこちらまで泣けてきた。