大人のくちごたえ

スーパーで買い物をしていたら、野菜売り場で、リーダーみたいなおじさんスタッフが、パートふうのおばさんに「○○さん。かぼちゃっ、補充しないと」と言った。すかさず、おばさんが「はいわかってます」と言いながらくるりと背を向け、小声で「ちっ、今やろうと思ってんだよっ」。うちの息子もよく言うけど、くちごたえって何歳にもなってもセリフは変わらないんだなー。おばさんのちっという舌打ちは、けっこう凄みがあった。

東京の京都

そこそこ近いのに全然行かないヒカリエ。今回やっと2度目である。
ゴリエおすすめの茶庭 然花抄院(ぜんかしょういん)でお茶をしたら、想像以上にくつろげる店で驚いた。くわずぎらいはだめだな。
京都生まれ、東京初出店のここは、器、盛りつけ、メニュー、内装なにもかもがザ・京都で、東京もんが太刀打ちできない独特の気高さがある。夏はかき氷を食べに来るとしよう。京都のかき氷のレベルはエベレストのように高いので。

一夜で変身

生まれて初めて上野公園の桜を見た。そして飲みあげ、人の歌に酔いしれ、己の歌にうんざりしながら、あっちゅーまに楽しい時間が過ぎた。

早く咲きすぎてライトアップ無し。気をきかせてくれてもいいのにな。

そして電車で帰ったら、地元の駅の改札がなくなっていた。そうだ、地上から地下に潜ったんだっけと思い出す。前の駅の改札が息を引き取ったみたいに、しんとしていた。昨夜見たあの桜も、次に行ったときは葉だけになっているのだろうなと思ったら、不意に淋しくなった。

あんなににぎやかだった下北沢南口階段に人っ子ひとりなし。
前日はこうだったのに。

躾のひとつ

「最近、ああうちはよその家と違うんだなあって気づいたことがあるんだけどさ、○○ちゃんはスカートのホックがとれたら翌日にはお母さんが直してくれるんだよね。うちは、ママが見て見ぬ振りをして半年や1年経っちゃうでしょ。あれなんで?」
「自分で縫うように自立心を促しているんだよ」
娘の目が、嘘だねと言っていた。

魅惑の2冊

日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)
こんな面白くて読みやすい内容の本、こんなカタいタイトルにしない方がいいのになあ。すらすら読めるけれど、おっとまてよ、なになに?と、もう1回立ち止まって読み直したくなる深いフレーズがあちこちにあり、意外に読了に時間がかかる。これがオトクだ。
原 研哉さんがトヨタと日産とホンダのデザイン部門の人と話し合って、世界中で一番スバラシイと決定した車が、ダイハツ「タント」だそう。車は走る都市細胞とか、文章までクールにデザインしている。
繊細で緻密で、日本のデザインってすごいじゃんと読了後に素直に思える。自分の手柄でもないのに、いいようのない誇りで心が満ち足りる。ちょっと幸せな気持ちになれる、新しいタイプのデザインの本だ。

絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える
風呂場で読了。写真家やデザイナーの多くは、目で見たものや気持ちを文章というカタチに変換するのが上手い。上手く書こうとか、セオリーとか関係なしに、自由な感覚で言語化している感じが読んでいて気持ちがいい。
1冊の本をひきあいに、これでもかというくらい、装幀の豊富なバリエーションを試みていて、そのコメントがまたイカしている。デザイナーの脳みその中を覗いた気分になれます。

ガス抜き

前菜。プチトマトとしその寒天寄せにはびっくり。しそを変色させないために、寒天の温度が低くなったところにしずめるんだそうな。

前から行きたいと思っていた南阿佐ヶ谷のオトノハへ。中華をベースにした創作料理で、おまかせコースにした。料理もどれもハズレがないし、サプライズがあるし、器も一つ一つ全部違って全部いい。
その素敵な店で、メディアファクトリーのごとーさんとイラストレーターのふじわらかずえさんと、酵素本2冊分の労をねぎらい合った。あたしたちの2か月はヤングの8か月。だから1日1日を大切にしよう、と確認し合った。あ、ちょっと待ってそれ大事と、ごとーさんが「私たちの2か月は、」といちいちメモしていた。
また、それぞれの職場でおっさんのようにがむしゃらに働くのだな私たちは。
きっと体がついていけなくて、または時代についていけなくなって働けなくなる日がいつか来るんだろうけれど、それまでは全力でがんばろう。ときどきこうやってガス抜きしながら。