四谷荒木町クロニクル

上京して最初に働いた街、四谷荒木町で痛飲。
雑居ビルの2階に、編集プロダクションがあり、社員として女性誌の編集に携わった。

細く、いりくんだ路地。傍らのお地蔵様。小さな公園。
料亭の軒先に干されたからすみ。
紫色の看板のカラオケスナック。
安くて夜遅くまでおいしいナポリタンを出してくれるバー「こくている」。

変わったものと変わらないものが混在し、深く考えると悲しくなるのだが
フジテレビが河田町から海の方に移っても
ふんばって街の灯が消えずにあることが
ただ、率直に嬉しかった。

そして3軒はしご。
1軒目で青いビームスのパンプスを履いていたのだが
朝起きて、玄関を見たら、ピンクの(だいぶくたびれた)ジミーチュウのハイヒールに変わっていた。
他人様の靴で、2軒も飲み歩いていたってどういうこと・・・。

(写真)
夢(や愚痴)を語り合った、こくているは健在。
ナポリタンは深夜に食べるときほどおいしくて箸が止まらず、「でぶの敵」と言いながら
結局いつも、完食するのであった。

リトル・フォレスト

[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=Lc5MYw_iwKE[/youtube]

映画『リトル・フォレスト』試写へ(8月公開)。東北を舞台に、若い女性が自給自足をする物語である。原作は同名の漫画だそう。主演の橋口愛さん、三浦貴大さんのみずみずしい演技は印象的だが、食いしん坊の私にとってこの作品の最大の魅力は、フードコーディネーターのeatrip 野村友里さんの作る料理の数々。有機野菜や木の実から作り出されるジャムやパテ、ソテー、どぶろくがまあ、おいしそうったらありゃしない。
冬場、女たちが集まってお茶のみをするシーンが、ちょうど、上梓した自分のお茶うけ本で、取材した場面と重なり、リアルな演出だなあと思った。寒い地方の農婦たちはみな、ああやって保存食や漬け物をもちよって、春夏秋に働き過ぎた羽を休めるのだな。
それにしても空腹時に見るのは危険な映画だ。

そのあとは、元ライターの大先輩、門脇紀子さんがきりもりする築地のビオワインのビストロ、ラ・ヴィンニュ・ア・ターブル 3周辺記念パーティへ。あり得ないグレードの生ハムやチーズで、赤字覚悟過ぎるぞこれと思いながら、いつものように昔の仲間と飲みあげた。
あっちもこっちも有機な1日であった。

初見参

散歩の達人』編集部のみなさんと、デザイナーのハラジョーさんと、扶桑社のキミジマさんと、新代田 中級ユーラシア料理店元祖「日の丸軒」で食事。
夫婦で唯一かぶって買ってしまうのが、昔からこの雑誌だった。そんなさんたつ編集部には、拙著『昭和ことば辞典』(ポプラ社)に付箋を貼って、日常会話に利用して下さっている方がいるらしい。まさに願っていた使われたかたである。
気を良くて、モロッコのワインをがぶがぶ飲んで、ばくばく食べ、あっという間に時間が過ぎた。
こんなにキテレツで、アヴァンギャルドな内装(横尾忠則感炸裂)で、個性的すぎる店主のいる店を知っているとは、さすがさんたつである。たぶん世田谷一個性的な店だ。最初から最後まで不思議祭り。なぜ中級なのか。なぜユーラシアなのか、元祖とのことだが支店はどこにあるのか。料理はすべてお任せで、幹事の椅子だけ、違うデザインのものに座らされ、座る場所を決められる。誰も店主に逆らえない。店主が憲法。料理名でわかったのはケバブだけ。そんななのに、どの料理ももれなく旨いというこの驚き。このギャップ。一度行ったら誰かに話さずにはいられない、笑いのたえないファンキーな店だった。
昭和ことば辞典: おい、羊羹とお茶もっといで! (一般書)昭和の日本映画から、『謙遜』『説教・忠告』など、カテゴリー別にフレーズを集めました。遠回しだけれど、相手に媚びず、傷つけずに真意を伝えるゆたかな言い回しを、おつきあいやビジネスにお使い下さい。