せつないほど旨いのだ

『dancyu』4月号(プレジデント社)
「すごいぞ!町の洋菓子店」
(文:大平一枝  撮影:長嶺輝明)

宇都宮でケーキといえばコボリ。
コボリ洋菓子店のシュークリームを取材した。
料理家 小堀紀代美さんのご実家でもある。

日本のシュークリームのレベルは世界一。
一つ180円にかけられた工程と手間の多さに呆然。

コボリのそれは忘れられない旨さで
わたしは取材後、あちこちでシュークリームを食べ続けている。
でも、あの味ではなくて、むしろ切なさ倍増なのである。

写真の系譜

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過日、笠井爾示さん写真展「七菜乃と湖」へ。  #柴咲コウ さんの連載で1年ほどご一緒した。  この人が撮る東京の街には、わたしには森山大道さんや荒木さんの系譜も見えるのだが、突き詰めるとやはり唯一無二。  詩的だが感傷的すぎない。街と笠井さんの奇妙な距離感に惹かれる。  帰り、編集者の落合真林子さんとイタリアンに食らいつき、夢をじゃぶじゃぶ語り合った。  (写真 笠井爾示「七菜乃と湖」より)  #笠井爾示 #森山大道 #荒木経惟 #AL #maricommm

大平 一枝 (Kazue Oodaira)さん(@oodaira1027)がシェアした投稿 –

消えた記憶

学生寮の同窓会で愛知へ。

荒涼とした駅に降り立つと、あの頃と変わらぬ吹きっさらしの風が吹いていて、一気に記憶が10代に。

後輩「ボランティアで草刈りをしていて、藁の山に先輩(大平)が差し歯を落とし、みんなで探した。

私が見つけて拾ったら、
“ 人の汚い差し歯を手で拾うなんて、お前はなんていいやつなんだ!!この恩は一生忘れない”
と手を握って言ってくれんだけど覚えてます?」

「そんなことあった?」

「やっぱりね。そんな人だと思ってましたよ」

差し歯を飛ばしたエピソードが他にも色々でて
きて、私の記憶は差し歯しかないのかと呆然とした。

 

 

 

「修理」の継承

「限りなく裸足に近い」感覚の靴、ドイツ・ビオライン社のヤコフォーム。
取材で、死ぬほど歩いても疲れないのは、普通の靴と違って、つま先に向かって開いているなのと、
革がどんどん柔らかく、足に馴染んでいくからだ。
体育大学の先生が設計し、1977年に発売されたロングセラーだそうな。

しかし、数年履き倒したらくたくたになり、勧められて修理していただいた。

before(お目汚しご容赦)

after

靴を修理すると、足に馴染む革の柔らかさはそのままで
見た目の艶やソールだけ新しく蘇る。
なんて合理的なんだ!

しみじみ実感するが、修理の技術を持っている会社は尊い。
技術を継承する体力と、ぶれない理念がないと、「ブランド」は成立しない。

どんどん作って、どんどん壊れて、また売るのではなく、どんどん直して愛してもらうことが
結局、再びの購買につながる。

開化堂の茶筒もそうだったが、直してもらうのって気持ちがよくて楽しいな。ビバ!修理、なんである。