気遣いの女王と。

大平 結婚されたあとは、作る料理も変わりましたか。

角田 夫とは食の好みが正反対なんですよ。私が大好きなチーズやバター、マヨネーズなどの脂系が駄目で。好きなものを聞くともやしとか豆腐とか、全部白いんです。だから一緒の時は覇気のない料理をしています。

大平 パンチがあるものは大体、茶色系ですよね(笑)。

角田 そうです。揚げたてのカツとか、口の中がガチャガチャするような、「ああ、生きてる!」と実感するようなものがない。

・・・・・・
『サンデー毎日』(7/23,30合併号)のお引き合わせで
ありがたいことに
小説家の角田光代さんと対談させていただいた。

“私なんかのために”と思わせない、上質な気遣いに唸る。

かつて、ツレヅレハナコさんのお声がけで一度、角田さんと食事をご一緒したことがある。これが最初で最後だぞと噛み締めながら食べた。

まさか再びお目にかかり、ずかずかご夫婦の食生活に踏み込む日が来ようとは。光栄すぎた。

※「エコノミスト オンライン」 でお読みいただけます

出演

「あさイチ」(NHK総合)に
出演します。

台所から人生模様を見つめる特集。ぜひご覧ください。
7/5(水) 8時15分ー9時55分

※NHKプラスというアプリで、1週間見逃し配信あり。

ふきんで番組1本

3月6日『あさイチ』(NHK) VTR出演。

テーマは「ふきん」。
長年、ズボラで、ふきんをいつも清潔に
使いこなせてなかったんだよなあと綴ったエッセイがきっかけだ。

ふきんで番組1本作ろうというディレクターの志と熱意にただただ敬服。

 

※NHKプラスで無料配信。視聴できるようです。

メディア情報、連載



「本を読んで、会いたくなって。」
(『クロワッサン』2/25号)
文 本庄香奈さん(マガジンハウス))
写真 黒川ひろみさん

拙著をご紹介いただいた。
喪失と再生というテーマについて、話していると、インタビュアーの方の目がみるみる真っ赤に。涙があふれだした。
聞けば、ご自分の結婚式翌日とのこと。
あんなきれいな涙、私はもう流せない。



「遠回りの読書」(『サンデー毎日』)。
今週号は
山田詠美さんの新刊『私のことだま漂流記』を。
今年が始まって41日。
とりあえず現時点で今年最高に夢中で読んだ本。

イベントのお知らせ

『dancyu』で4年前、宇都宮のコボリ洋菓店 @kobori1969 を取材した。町の人が愛する洋菓子店という特集だった。

後半、取材に合流したのが、料理家の小堀紀代美さんだ。そこで初めて実家であると知った。

2代目を継ぐ11歳下の弟。今は引退して町の顔役として忙しい創業者の父。
ふたりを見守るまなざしのあたたかさ、慈愛に満ちた静かな語り方が、不思議と深く印象に残った。

私よりいくつも年下なのに、全てを包み込む、まるでこの家のお母さんみたいだな。
そう思ったのだ。ほんとうに。

✳︎

20年前に母を亡くした。がんとわかった時には余命2ヶ月であった。
本人に知らせたくない一心で、母のきょうだいにも言わず、2ヶ月間、母のご飯を作り続けた。
それでよかったのか、自分の振る舞いのあれは、これは。今も答えが出ていない。

『それでも食べて生きていく 東京の台所』の取材をした夜、彼女からメールが来た。

あの2ヶ月間の献立帳が出てきました、と。

食が細くなる母の記録をするのが辛くなり、書くのをやめてしまったという最後の日のページの朝は「おかゆ、梅干し、山椒」。
昼は「にゅうめん」。
追撮に行くと、青いボールペンの文字が揺れていた。

喪失と再生というテーマに、紀代美さんは別れ際、こんな言葉を添えた。
「もし、大切な人を亡くした人がいたら、同じように悲しんでいる方と、たくさんその方について話すと良いと思います。みな、気を遣って、亡くなった人について話さないんだけど、話したほうが救われるんですよね」

以降私は、本書の取材で出会った人々に、受け売りのその言葉を、伝道師のように伝え歩いた。

第一印象の凪のような静謐な優しさは、痛みを経験した人の強さに裏打ちされた美質だった──。

✳︎

○1月19日(木)、19時半〜
「連載10年で気づいた取材現場の本質」
⁡(書店B&B)

新刊イベントでは、後半、小堀紀代美さん  に僭越ながら
取材を受ける側から見た『東京の台所』、
そして、話すことで感じた心の変化を伺います。お母様の急逝が実は
料理家になるきっかけを遠くで作っていたことなども。

お申し込みはこちらから。
書店B &B

(写真)
20年前の献立帳を探す小堀さん。

献立帳。

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