私は、歯を食いしばっているところを見せず、地道に、おいしいものづくりを続けている店を今年も追いかける。
定食屋は、町の営みの記録であり、今日も米を研ぎ、包丁を振る人の心の内を綴ることはきっと、誰かの小さな力になる。そう信じているので、今年もどうぞお付き合いのほどを。 (連載『そこに定食屋があるかぎりがある限り』ケイクス)
撮影/難波雄史
文/大平一枝
大平 一枝(おおだいら かずえ)
私は、歯を食いしばっているところを見せず、地道に、おいしいものづくりを続けている店を今年も追いかける。
定食屋は、町の営みの記録であり、今日も米を研ぎ、包丁を振る人の心の内を綴ることはきっと、誰かの小さな力になる。そう信じているので、今年もどうぞお付き合いのほどを。 (連載『そこに定食屋があるかぎりがある限り』ケイクス)
撮影/難波雄史
文/大平一枝
誰かと暮らすのは無理かなと思っていたふたりの、出会いと結婚。
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仲間に誘われて参加した「羊料理を食べる会」に、妙に話の合う男性がいた。
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学生時代からバックパッカーの旅が好きで、現在は商社勤務。いっぽう彼女は、ブラジル留学の経験があり、当時、海外での農業調査など食にまつわる仕事に就いていた。
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「彼から『もの食う人びと』に影響を受けたと聞き、私も愛読書だったので驚きました。そこに禁漁のジュゴンがおいしいという話があり、食べてみたいよねとか、食べ物の話で盛り上がったのです」
作家の辺見庸が世界を旅しながら、食を手がかりに飽食と飢餓、貧困、紛争など各国の現実を描いた代表作である。
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文 大平一枝
写真 本城直季
▶︎▶︎連載更新
「令和・かぞくの肖像」(OIL)
文/大平一枝 @oodaira1027
写真/笠井爾示 @kasai_chikashi_
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蛭海家の場合 VOL.4
「遺族だからって、ずっと暗く悲しい顔をしていなきゃいけないってことはない。人間なんだから、酒を飲むし、友達と騒ぐし、テレビ見て大笑いだってする。」
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現代に生きる4組の家族の生活を、定期的に取材するドキュメンタリー企画。
連載『東京の台所2』(朝日新聞デジタル&w)
「27歳。ヨットの夢に備え、IHコンロ一つの調理台で本格料理を」
オリーブオイルは生と加熱用と、こだわりのブランドを使い分ける。友だちを呼んでのホームパーティーが多いため、玄関収納の用途を変え、ワインクーラーや客用グラスを整理している。
しまいかた、使い方の発想がじつに柔軟だ。ここでイタリアンから中華まで、餃子(ギョーザ)は皮から作るらしい。
これらはすべて冒頭の「ヨットで世界一周」の練習である。
「自分で魚をとり、ソーラー発電で自給自足に近い生活をし、街ではおいしいコーヒーを提供したい。
この狭い台所で、どれだけ自分の好きな料理が作れるか。サステイナブルな生活ができるか。日々実験中です」
文 大平一枝
写真 本城直季