天国であのフライを。

ある常連客が亡くなったとき、親族から相談された。 
「故人が大好きだったデラックスミックスフライを棺に入れさせてもらえませんか?」
 智さんは精一杯心を込めて、えびとイカとキスを揚げた。天国でもなお食べたい味なのである。
(『そこに定食屋があるかぎり。』)より

こんな言葉を簡単に使うのは不肖だけれど、
祖師ヶ谷大蔵の至宝、キッチンマカベ は
愛にあふれた店だった。

文:大平一枝
写真:難波雄史