『かみさま』

『かみさま』(ポプラ社)

装丁 横須賀拓
写真 小林キユウ
編集 鎌田怜子

紙と人の心を結ぶ絆の物語を書きたかったー。

【内容】
(登場人物・かみさま)
山櫻、越前生漉奉書、すみれ洋裁店、佐藤柚香、三木重人、
井上明久、高濱浩子、水野学、大口善介、ゼンマイカムパニー、
ランドスケーププロダクツ、みつ、ちはる、渡辺ゆき、柑、
佐藤克裕、アコ、グッドデザインカンパニー、菊地敦己、
守先正、小林キユウ、青木隼人、ナノグラフィカ、高井綾子、
美篶堂、世田谷区立代沢小学校の学級新聞、RARI YOSHIO、
飯田安国、嶋浩一郎、平野甲賀、田中一光(登場順)

(コラム)
古書日月道、山下印刷、はいばら、おみくじは誰がデザインしているのか、牛乳のふたの秘密ほか

【制作こぼれ話】
全精力をつぎこんだので、しばらくは燃え尽きた感がまとわりついていた。
これまで書籍は、編集者に併走してもらいつつも、「書くときはひとり」という孤独感があったが、これほど編集者と一緒にゼロから作り上げた印象の強い仕事はない。
発売の時は、ああもう手を放れてしまうのだなあ、この本について意見を戦わせる相手がいなくなるのだなあという一抹の寂しささえ感じた。
造本設計という言葉をとても意識させられた本。たくさんの人のお世話になった。

 

『見えなくても、きこえなくても。~光と音を持たない妻と育んだ絆』

『見えなくても、きこえなくても。~光と音を持たない妻と育んだ絆』 (主婦と生活社)

装丁 守先正
写真 安部まゆみ
編集 寺田文一

全盲ろう者の久代さんと、自給自足生活を営む健聴者の好彦さん。
ふたりは40代の終わりに知りあい、恋に墜ちた。
絶望の淵からはいあがり、京都の盲ろう者の希望的存在となった妻と。彼女を陰で支える夫の心の絆、
そして丹後の四季を描いたノンフィクション。

【執筆こぼれ話】
京都、丹後半島の奥地で自給自足をする梅木好彦さんのもとへ嫁いだ花嫁は、全盲ろう者の久代さん。
40代の終わりに知り合ったふたりは恋に墜ち、結婚をした。
笑いの絶えないふたりの壮絶な過去と、
けしておとぎ話ではない山のなかの自給自足生活、
ある壮大な夢を実現してしまった今、そして未来を綴った。

指をつないでコミュニケーションをする触手話の存在を、この時初めて知った。
ふたりのそばにいると、静かで言葉こそきこえないが、
あたたかで楽しげな空気に包まれる。
つねに笑い声が絶えず、指の小さな動きで相手の心をはかる触手話が
魔法の言語のようにみえた。

片道10時間の取材の道中はカメラマンの安部まゆみと、ずっと人生を語り合った。
暑い夏は、過疎の集落の梅木邸前のあぜ道で昼寝。
何年も宿泊者がいないという町の公民館を借りたことも。
食事はもちろん自炊。
一宿一飯の恩義にあずかった集落の人とは今も交流が続いている。
思いがけず、3年もかかってしまったが
私にとって忘れられない、思い入れ深い作品になっている。

執筆こぼれ話】
京都、丹後半島の奥地で自給自足をする梅木好彦さんのもとへ嫁いだ花嫁は、
全盲ろう者の久代さん。
40代の終わりに知り合ったふたりは恋に墜ち、結婚をした。
笑いの絶えないふたりの壮絶な過去と、
けしておとぎ話ではない山のなかの自給自足生活、
ある壮大な夢を実現してしまった今、そして未来を綴った。

指をつないでコミュニケーションをする触手話の存在を、この時初めて知った。
ふたりのそばにいると、静かで言葉こそきこえないが、
あたたかで楽しげな空気に包まれる。
つねに笑い声が絶えず、指の小さな動きで相手の心をはかる触手話が
魔法の言語のようにみえた。

片道10時間の取材の道中はカメラマンの安部まゆみと、ずっと人生を語り合った。
暑い夏は、過疎の集落の梅木邸前のあぜ道で昼寝。
何年も宿泊者がいないという町の公民館を借りたことも。
食事はもちろん自炊。
一宿一飯の恩義にあずかった集落の人とは今も交流が続いている。
思いがけず、3年もかかってしまったが
私にとって忘れられない、思い入れ深い作品になっている。

電子書籍版も発売されました。

 

『世界でたったひとつのわが家』

『世界でたったひとつのわが家』(講談社)

装丁・ブックデザイン 坂川栄治・田中久子(坂川事務所)
イラスト 牧野伊三夫
編集 篠原由紀子

傘立てのスペース、パソコンのコードの束、
物干し竿の高さ・・・
そういうささいな暮らしの隅っこに、
案外、快適の「核心」が
潜んでいたりするのではあるまいか。
~はじめにより~

【執筆こぼれ話】
11年続いたアサヒコム『小さな家の生活日記』連載を大幅に加筆修正したもの。
「本に」とご連絡をいただいてから、1年7ヶ月がかかった。
いわゆる「実用」と「エッセイ」のはざまで、編集者も私も揺れに揺れた。

建築家や収納カウンセラーや住宅雑誌が言ってくれなかった、
生活目線での「家作り」のツボとコツを書いた。
住んでみたら、パソコンコードのたこ足配線は今にも出火しそうだし、
ほんの少しの予算を削ったばかりに、お香を置く場所がなく、床に置いている。
ちょっとした無意味な棚があればよかったなあ、
床暖房の敷設スペースはもっと考えればよかったなあなど、
これから家を建てる人に役立つような私の失敗も書いてみた。
そして、家という箱を作ることは、
これからの人生を考えることなのだなあということや、
ご近所さんとのつき合いの愉しみについてもまとめた。

書き下ろしよりはるかにしんどかったというのが本音である。
牧野さんの絵が、私の拙い文章を支えてくださった。
帯や見返しのコピーを編集者と一緒に一言一句、納得しあいながら作った。
編集者と併走している感が心地よかった。

 

真夜中の絆創膏

『真夜中の絆創膏』

大平一枝+高市美佳 著

文 大平一枝
装丁 高市美佳

 

『クリエイターの自費出版本展』(2005年/スパイラルホール)に出展するため制作した、限定100冊の私家本。装丁家の高市美佳さんと、「商業ベースにのらない、私達の作りたい本を思い切り自由に作ってみよう」と挑戦しました。

 

【制作こぼれ話】
書店に並ぶことを考えなくてよいので、劣化やコスパを一切無視。
デリケートな桃肌というやわらかな布を表紙に。
1冊ずつ切り貼りし、大好きなグラシン紙をはさみながら本文は、
あえて紙焼けや退色のある再生紙を使用。
加工の難しい素材を贅沢に使いました。
結果、私達の目指した『手触り』のある世界に100冊のオリジナル本が誕生。

デザイナー高市美佳さんの繊細でアグレッシブな感性が120%投影された、宝物のような作品です。(非売品)

 

 

『ジャンク・ウエア』

『ジャンク・ウエア』(平凡社)

共著 ふたつ星文庫(大平一枝、さとうあとり)
装丁 熊谷智子
写真 中川彰、川村法子
編集 清水壽明

パイレックス、ヘーゼル・アトラス、フェデラル・グラスのガラスウエアを
「生活者の目線」で紹介。
ファイヤーキングの陰に隠れたこのかわいい器達に、
日の目を当ててあげたいという一心で、編集・執筆した。
使ってこそ楽しいアメリカンジャンクの魅力が伝われば幸いである。

【本書あとがきより】
この本を作りながら、タイムマシンに乗って、
20世紀をひとっ飛びしてきたような気がする。
家の明かりが温かく輝いていた、夢一杯の生活史。
アメリカン・ジャンクはそんな時代のシンボルだ。

あるモノを見た瞬間、なぜか引き付けられる。ノスタルジーが胸の奥で
小さな炎をちらつかせる感じ。
忘れていた過去の小さな思い出が、ふいに脳裏に浮かび上がる。
アメリカンコレクタブルズの器は、
丈夫で安くてキレイで夢がある、大衆食器だった。
20世紀、大衆の暮らしがこれからどんどん豊かになるという夢にあふれていた頃に、
一般大衆の生活を、おしなべて豊かにするために生まれてきたものたち。
だから、どの家にもあった。
おばあちゃんも、お母さんも、隣のおばちゃんも、みんな持っていた。
新しいモデルが生まれると、ありふれたモノたちは輝きを失い、
倉庫の奥にしまいこまれる。
それが今、ガレージセールやフリーマーケット、アンティークモールの一角で
再会する、パイレックスやその仲間達だ。

毎日汚して、洗ってまた使われてきたものたち。
バックスタンプがすり減り、表面に小さな傷をのこしたこの器たちは、
使いしてのモノなんかとは全く
違う精神から生まれてきた商品だ。
だから今もこんなに沢山残っているし、ちゃんと使える。
何より、アメリカが輝いていた時代の夢と希望がたくさん詰まっている。