老境

ブータン国王夫妻の小さなニュース、立ち居振る舞いを見るだけで、やたらに涙が出てくるので困る。

清らかなものって、説明しなくても伝わるものなんだな。

甲子園を見ても泣けるし、小学生の合唱もいけない。

最近は「ぶらり一人旅」みたいな番組で40年コロッケを揚げ続けているおじさんのインタビューで涙が止まらなくなる。

『探偵ナイトスクープ』でやっていた、「卒業アルバムを見ると、知らない子のそれでも必ず泣いてしまう大阪のおばさん」に親近感を抱く今日このごろ。

新刊タイトル決定

12月19日発売の新刊タイトル決定。
『もう、ビニール傘は買わない。』~暮らしと自分を変える60の習慣~(平凡社)。

15冊目になるが、ほとんどのタイトルは出版社で決められる。
今回もそう。
もっと偉い作家は違うのだろうが、わたしレベルの書き手のタイトルは営業部の意見が重要で、
そういう人たちが列席する出版社の会議で決められる。
著者は出席しないし、意見は重視されない。
商品なので、もっとビジネスライクに判断しなければならないのだ。
会議後、待合室で子どもの誕生を聞く父のような心境で、編集者からの連絡を受ける。
事前に編集者と綿密な打ち合わせをしているので、
こちらで考えたタイトルでいけるかどうか、周囲の反応も一番先に聞けるというドキドキの会議である。
結果は私たちの推すものになり、しかも営業の方たちの反応もとてもよかったと。
のるかそるかのこのタイトル。市場で吉と出るか凶と出るかは天のみぞ知る。

食生活、物の持ち方、人付き合い、季節との向き合い方…。使い捨てや、その場限りの消費に背を向けて一歩ずつ大人になるための実用エッセイです。

ただいま校正中。

ダイエットばか一代:その2

10分踊るだけでくびれを作るというヤーナリズムはどうにか毎日続いている。
そして、ママ友が一から作った酵素を毎朝飲んでいる。
これがけっこうおいしいので「そんなに体にいいのなら、金を払うのでもっとくれ」と言ったら、
「飲むだけで痩せるものはこの世にない」とぴしゃり。だよねだよねえと頷く私を、息子と娘が冷ややか~な顔で見る。
「この間まで夕食をチゲ鍋にして痩せるって言ってたよね。あれどうなったの」と息子が言う。
「ヨガはもう行ってないの?カスピ海ヨーグルトは、脂肪燃焼スープは?」と娘。
痩せたいという気持ちを持ち続けているだけでも評価して欲しいものだが、この尋問のような目は何。

さよなら30D

安部巨匠から譲ってもらったCANON EOS 30Dが「ぼくちん、もう働けません」とお陀仏になり、KISS X4にした。
KISS X5が今年出たところなので、型落ちのX4は激安。
でも、届いたそれが、どうにも泣きたいくらいにボディが軽くておもちゃのような手触りで、箱を開いたとき、しょんぼりしてしまった。
店頭でよくよく触って確認したあと、ネットの底値で買ったのだが。
そんなふうに素材にこだわるのほどの腕もなく、絞りとシャッタースピードを理解したのも最近のことで、
一眼レフビギナーズのために一生懸命軽量化の開発をしたKISS担当の人に罪はないし、
プライベートでなく仕事に使おうという私が全面的に間違っているのだけれど、やっぱりカメラは重い方がいい。
プラスチックみたいなぺこぺこの素材のボディじゃない方が断然いい。
KISSは性能もすこぶるいいのだが、何が違うんだろうと考えると、たぶん「持っているときの緊張感」だ。
1月から写真を使った仕事が始まる。
ド素人が四の五の言っている時間はない。KISSで修行だ、修行。

カメラバッグにレンズと一緒に入れて歩くと、ずしりと重くて腰が痛くなる30D。でもすごく好きだった。息子と娘のサッカー生活をずっとグランドで見守ってくれた。ありがとう、そしてさよならと、最期の写真を携帯で。

『日曜日のアイデア帖~ちょっと昔の暮らしで楽しむ十二か月』

『日曜日のアイデア帖~ちょっと昔の暮らしで楽しむ十二か月』(ワニブックス) 

イラスト コーチはじめ
編集 寺林真規子
装丁 川名潤、五十嵐ユミ(pri graphicks inc.)

知恵をめぐらし、四季に寄り添い、生活の行事を楽しむ。
ちょっと昔の暮らし方の中に、今私たちが欲しい答はみんなある。

【内容】
正月ラジオ、火鉢、手づくり玄米茶、マイ桜、野草の湯、浴衣、干し野菜、お茶漬け、柚子仕事……。
二十四節句、七十二候。肩の力を抜いたお楽しみ生活歳時記十二ヶ月分です。

【制作こぼれ話】
もともとは、自著『かみさま』を読んだワニ・ブックスの寺林真規子さんが、
別の企画を考えてくださっていました。
それが稀有な小さな縁でつながってゆき、恵比寿の喫茶店で初めてお会いしたのでした。

そこで、1年に日曜日は53回。たったそれくらいだったら、
ちょっと前の日本の暮らしを楽しめるよね。
それで1年後の自分がちょっと素敵になっていたらうれしいよね、というような話がもりあがり、どんどん全然別の企画がふくらんでゆきました。それが本書です。

やっぱり本作りは楽しいなあと、1ページ1ページしみじみ実感しながら書きました。
本当はこういう本ほどゆっくり書ければいいのだろうけれど、
その間も九州へ、京都へと別の仕事で東奔西走。
それでも、この原稿に向かう時間は、呼吸はすう~っと深くなり、きもちが鎮まるのでした。
やっぱり日本文化にはなにかある。
目に見えない先人の導きについてゆくような、不思議な体験でした。

イラストは、洋風でも和風でもない、唯一無二の独特の世界観あふれる絵を怖ろしいスピードで描き上げる大好きなコーチさん。
書きたいことは書ききったなあという思いがあります。
ひと言で言うと、ご馳走は、ハレの日だけに食べましょうという本です。