真夜中の絆創膏

『真夜中の絆創膏』

大平一枝+高市美佳 著

文 大平一枝
装丁 高市美佳

 

『クリエイターの自費出版本展』(2005年/スパイラルホール)に出展するため制作した、限定100冊の私家本。装丁家の高市美佳さんと、「商業ベースにのらない、私達の作りたい本を思い切り自由に作ってみよう」と挑戦しました。

 

【制作こぼれ話】
書店に並ぶことを考えなくてよいので、劣化やコスパを一切無視。
デリケートな桃肌というやわらかな布を表紙に。
1冊ずつ切り貼りし、大好きなグラシン紙をはさみながら本文は、
あえて紙焼けや退色のある再生紙を使用。
加工の難しい素材を贅沢に使いました。
結果、私達の目指した『手触り』のある世界に100冊のオリジナル本が誕生。

デザイナー高市美佳さんの繊細でアグレッシブな感性が120%投影された、宝物のような作品です。(非売品)

 

 

『ジャンク・ウエア』

『ジャンク・ウエア』(平凡社)

共著 ふたつ星文庫(大平一枝、さとうあとり)
装丁 熊谷智子
写真 中川彰、川村法子
編集 清水壽明

パイレックス、ヘーゼル・アトラス、フェデラル・グラスのガラスウエアを
「生活者の目線」で紹介。
ファイヤーキングの陰に隠れたこのかわいい器達に、
日の目を当ててあげたいという一心で、編集・執筆した。
使ってこそ楽しいアメリカンジャンクの魅力が伝われば幸いである。

【本書あとがきより】
この本を作りながら、タイムマシンに乗って、
20世紀をひとっ飛びしてきたような気がする。
家の明かりが温かく輝いていた、夢一杯の生活史。
アメリカン・ジャンクはそんな時代のシンボルだ。

あるモノを見た瞬間、なぜか引き付けられる。ノスタルジーが胸の奥で
小さな炎をちらつかせる感じ。
忘れていた過去の小さな思い出が、ふいに脳裏に浮かび上がる。
アメリカンコレクタブルズの器は、
丈夫で安くてキレイで夢がある、大衆食器だった。
20世紀、大衆の暮らしがこれからどんどん豊かになるという夢にあふれていた頃に、
一般大衆の生活を、おしなべて豊かにするために生まれてきたものたち。
だから、どの家にもあった。
おばあちゃんも、お母さんも、隣のおばちゃんも、みんな持っていた。
新しいモデルが生まれると、ありふれたモノたちは輝きを失い、
倉庫の奥にしまいこまれる。
それが今、ガレージセールやフリーマーケット、アンティークモールの一角で
再会する、パイレックスやその仲間達だ。

毎日汚して、洗ってまた使われてきたものたち。
バックスタンプがすり減り、表面に小さな傷をのこしたこの器たちは、
使いしてのモノなんかとは全く
違う精神から生まれてきた商品だ。
だから今もこんなに沢山残っているし、ちゃんと使える。
何より、アメリカが輝いていた時代の夢と希望がたくさん詰まっている。

 

 

『自分たちでマンションを建ててみた。~下北沢コーポラティブハウス物語』

『自分たちでマンションを建ててみた。~下北沢コーポラティブハウス物語』(河出書房新社)

装丁   渡辺浩美
イラスト 伊東道子
写真   編集部
編集   西口徹

居住者で土地を共同購入。
建設組合を結成して、建築家とともに、
一戸ずつそれぞれ自由な間取り・設計でつくる集合住宅が完成するまでの体験記。
よぶんなコストをおさえた低価格・自由設計も魅力だけれど、
私はこの住まいのコミュニテイ、
「長屋的感覚」こそがじつは大きな魅力だったのだと、
建てたあとで気づいた──

【制作こぼれ話】
比較するほどたくさん著書や共著があるわけではないが、新聞・テレビ・雑誌等で、一番取材の多かったのが本書。
最初はいろんな取材に答えていたが、悪いところだけを強調して報道されるなど、予想外の苦い経験も・・・。
マスの力は怖いなと、あらためて実感した。
「この本を読んで、コーポラティブハウスの入居を決めた」という方の話をいくつか聞くと、
少しは役に立てたのかなと嬉しくなる。
今でも、コーポラティブハウスは、土地が安くないこの国の住環境を変える切り札だと私は信じている──。