

『ジャンク・スタイル・キッチン』(主婦と生活社)
装丁 下山ワタル
写真 安部まゆみ、野寺治孝
編集 遊佐葉子、熊谷美智世
イラスト 北村範史、伊藤絵里子
自分が焼いた器、自分で作ったテーブル、椅子、そして台所。
大量生産で大量に供給されたおしきせの台所をよしとせず、
使いやすいように自分サイズに手を入れた、
世界でたったひとつの私の台所を持っている人たちをルポ。
台所の数だけ、まじめであたたかな幸福が、確かにそこにあった──。
【内容】
匙屋、寺林省二、わが家の古いもん、待つ料理ほか
【制作こぼれ話】
ジャンクシリーズ3部作がようやく完結。1年に3冊はさすがにハードだったが、目に見えないいろんなものを受け取った。
3冊を通して、じつは、働くとはどういうことかを、いちばん書きたかった。
「こういうことを書きたいんだけど、シリーズともなると、つっぱしっていいのか迷うし、不安がある」と最初に話したときに、
編集の熊谷さんが「これを読んで」とある新聞の社説をファックスしてくれた。
日本の経済と若者の指向についての記事だった。
彼女は言った。「私たちは間違ってないから、迷わずいこう」。そこで3冊の軸になる1本の道が見えた。
執筆中、何度、そのファックスを読み直したことだろう。
発売後、これまでの私の本とは異なり、編集の遊佐さんが、新聞に重点的に働きかけた。
小さな本だが、インテリアの様式としてではなく、暮らしの思想を紹介した書として、編集と営業と著者が一体となり、心を一つに動けたことは初体験で、かけがえのない時間を過ごせた。
