『それでも食べて生きてゆく 東京の台所』(毎日新聞出版社)

『それでも食べて生きてゆく 東京の台所』(毎日新聞出版社)

撮影 大平一枝、本城直季
装丁 佐々木暁
編集 宮里潤(毎日新聞出版社)

何も失っていない人などいない。
台所から人生を描くルボルタージュコラム。
連載「東京の台所」(朝日新聞デジタル&w)に、新規取材を加えた
22人の物語。

【制作こぼれ話】
テーマは再生と喪失。
脱稿目前という時に、どうしても取材した人が現れた。
編集者にはページを空けて待ってもらった。
「東京の台所」で第1回目に取材した日本茶喫茶の店主だった。

彼女の写真は、その後書籍(2017)の表紙になっている。
10年前「ふたり暮らし」だったのが
今年「ひとり暮らし」になった。
この世を旅立った人への想いを
私は描ききれるのか。

10年の区切りになる
忘れ得ぬ作品になった。

 

 

『東京の台所 第1巻』(小学館クリエイティブ)

『東京の台所 第1巻』(小学館クリエイティブ)

原作 大平一枝
作画 信吉
編集 秋田美幸(ヒーローズ)
発売 小学館クリエイティブ
発行 ヒーローズ

連載 『東京の台所』(朝日新聞デジタル&w)を元に
オリジナルストーリーの漫画が誕生。
むこうみずなシングルマザーのライター・キンコと
ちょっと醒めた新聞社広告局の編集者・成くんコンビが
市井の台所訪ねる。

ヒーローズで毎月1話、期間限定無料配信。
単行本は4話を所収。

ヒーローズより引用

【制作こぼれ話】
漫画化のご依頼は、過去にもあった。
が、なんとなくそのまま立ち消えになったので、今回も、お話をいただいたときは、期待を半分くらいにしておこうと思った。

編集長含め3人で拙宅にいらした。
ヒーローズの編集者さんたちは
最初の最初から、熱かった。

約30ページの1話をつくりあげるのに、本当に1年かかった。
漫画とはこんなに手間隙かかるのかと
心底、驚いた。

原作者としてまだまだ未熟だが
愛される漫画になってほしいと願っている。

 

 

ただしい暮らし、なんてなかった。

『ただしい暮らし、なんてなかった。』(平凡社)

文  大平一枝
撮影 安部まゆみ
装丁 佐々木暁
編集 吉田真美、野崎真鳥(平凡社)

モノの選びかたや手放しかた、家事のルーティーン、日々の人付き合い、心身のケア、住まいの手入れ……。慣れない子育てや仕事に奔走していた10年前から、ふと気づけばいろいろなことが変化していた。トライアンドエラーをくりかえしてつかんだ、「ちょうどいい暮らし」のヒントに満ちたエッセイ集。

――みんな、生きている途中だ。自分にフィットする暮らしのありようを求めて石のようにどんどん転がっていけばいいと思う。変わることをとめずに。(本書より)

【制作こぼれ話】
既刊『もう、ビニール傘は買わない。』(平凡社)の担当編集者から 「第二弾を作りましょう」とお声がけいただいたことから始まった。
ちょうど10年を経て子どもたちはすだち、家族のあり方も、ライフスタイルも、仕事のしかたも、価値観も変わった。 もちろんコロナ禍も切り離しては考えられない。 ではどうかわったか、が本書制作の起点となった。

過去25冊で初めて、書く前に装丁家と打ち合わせをした。そしてコンセプトづくりのところから装丁家に入ってもらった。 私や編集者は、生活のアイデアや実用書ではなく、暮らすことでたくさんのトライアンドエラーを重ねてきた今 見えてきたこと、考えの柱を記す本にしたいと考えていた。

装丁家の佐々木暁さんは、「では、考え方を伝える本ですね」と即座に理解され 文中にインテリア写真を入れたり、カバーに暮らしの写真を持ってくるのはやめましょうと提案。 写真は、「変化」をテーマにした抽象的なものにと、斬新なアイデアを出してくださった。

また、人付き合い、自分のケアなど具体的に一つ一つ、下記2点をエッセイごとにいれることになったのも この時の打ち合わせで決まった。

・「かつて」はどんな考えだったか。
・「いま」はどうどう考えているか。

タイトルは3人の編集者で(吉田さんは途中で産休に)出しあい、数十本の中から決めた。

表紙は潔く文字だけ。原稿を書く前にカバーが出来上がっていたのも初めての経験だ。
執筆中何度も、迷いそうになるとカバー写真を眺めた。
すると原点に戻れて、ブレも修正できた。

ブックデザインが本づくりに及ぼす素晴らしい影響を実感した。
またひとつ、忘れがたい作品が生まれた。

この世の中は、頑張ることより頑張らないことのほうがずっと難しい。 少し減速して、自分ファーストで、もうそんなにスケジュールもモノもつめこまずに ゆっくりいきましょう。 そんなことが一人でも多くの人に伝わることをせつに願っている。

 

 

新米母は各駅停車でだんだん本物の母になっていく

『新米母は各駅停車でだんだん本物の母になっていく』(大和書房)

文  大平一枝
イラスト ミヤギユカリ
装幀 森治樹
編集 小宮久美子(大和書房)

読んで楽になった、泣ける……とママたちのあいだで話題沸騰!
人気サイト「北欧、暮らしの道具店」で大反響の伝説のエッセイ収録
だれもが初めて「お母さん」を体験するのだ。
ていねいにも
まめにもできないけれど
これでいいんだと背中を押される
失敗母さんからのエールエッセイ。

【制作こぼれ話】
表題は、『北欧、暮らしの道具店』で連載し、反響をいただいたエッセイのタイトルから。
それを読んだ編集者、小宮久美子さんからご連絡をいただき
子どもが23歳と19歳になるまで、各誌紙で書いてきた育児エッセイを抽出、年齢順にまとめ直し、加筆修正しました。

私はいつも仕事でヨレヨレ、家事も育児もだめだめ。
丁寧になんてとても暮らせない、失敗の連続の母親です。

ていねいにも、まめにもできないけれど
それでいいんだよと背中を押すような1冊にと願っています。

本書スタッフは、編集者、装幀者、イラストレーターともに親であり
「子どもはいつか、その扉を開けて出ていってしまう」という
わずかなせつなさを共有しながら
制作できたことが、私の大きな財産になっています。

 

 

昭和式もめない会話帖

『昭和式もめない会話帖』(中公文庫)

文 大平一枝
イラスト 堀道広
装幀 中央公論新社
編集 石川由美子(中央公論新社)

『昭和ことば辞典』(ポプラ社 2013年)を加筆して文庫化。
イラストレーターの堀道広さんを通して、本が生き返った気がした。
言葉は、ときに、時代に応じて解釈を変え、死んだり、生き延びたりする。
堀さんの解釈で、
「いい女ですね。食欲が湧く」
「吹くわね、坊やのくせに」
などというセリフが、いきいきと、息を吹き返すのをまのあたりにして
リインカネーションという言葉を思い出した。

【制作こぼれ話】
20代の若い編集者 石川由美子さんが見つけて下さり
文庫にと、熱い気持ちでご連絡を下さった。
通勤や旅先にも連れて行ってもらえるので、文庫化は、書き手としてひとつの目標だったが、いろんな奇跡が重ならないと、かたちにならないのだなあと実感。
見つけてもらってよかった。

 

 

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