「しろくまちゃんのほっとけーき」
★★★★

わかやまけん作 こぐま社
1972年

こぐまちゃんえほんのなかで
これだけが大好きです。
色、構図、構成。この1冊だけで
わかやまけんは日本のディック・ブルーナであると
いってよいのではないかと思います


 30年以上前に書かれたのに、いつ読んでも新鮮。読むたびに“絵柄”から新しい発見をするのは、「てつたくんのじどうしゃ」の堀内誠一さんと、本書のわかやまけんさんです。
この両作品の絵には、ずっとながめていても飽きない、時代の古さを感じさせない、色遣いが単色でありながらモダンで新鮮な印象があるという共通点があります。いうまでもなく二人は、優秀なグラフィックデザイナーでもあります。そういう職業的なバックグランドに、何度みても飽きない魅力の秘密があるのでは・・・。
 絵柄もさることながら、本書のたまらないもう一つの大きな魅力は、見開きいっぱいに展開するホットケーキの焼ける場面。
「ぽたあん」「どろどろ」「ぴちぴちぴち」「しゅっ」「ふくふく」…。なんて豊かな表現力でしょう! 今にもきつね色に焼き上がるホットケーキの甘い匂いが漂ってきそう。どろどろとした小麦粉の液体が、少しずつふくらむ状態を「ふくふく」と表現できるのは、わかやまさんしかいないのでは。ホットケーキができあがるまでの、期待に満ちた幸せな気持ちがつたわってきます。ああ、もういけません。
明日の朝食はホットケーキにしよう!

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