「サカナカナ?」
★★★

山村浩二作
福音館書店「こどものとも012」
2001年

アニメーションのよいところが
絵本に反映された
新鮮な世界


「頭山」などで世界的に名を知られるアニメーション作家、山村浩二さんが、福音館の「こどものとも」に挑戦。「こどものとも012(ゼロイチニ)」は3年間購読しましたが、これが一番好きでした。
 水彩の、やわらかで透明感のある独特のタッチ、魚がバナナや赤ちゃんに変身していく展開は、アニメーションのように滑らかで、赤ちゃんでも飽きない構成に。また、目が太陽みたいに大きくて、たらこ唇のとぼけた表情の魚が、お腹の大きな赤ちゃんにかわっていく様子は、大人の私でも何度見てもワクワクしてしまいます。
「パクシ」もそうですが、思うに山村さんは相手が「子どもだから」とか「赤ちゃんだから」なんて、これっぽっちも意識して制作していないのでは?
 子どもに媚びない独創的な芸術世界を、堂々と押し進めている感じが、とても心地よいのです。とくに0歳や1歳、2歳向けだと、へんに道徳的だったり、気持ちのいい言葉を羅列してごまかしていたり、わかりやすいキャラクターで逃げていたり、「このくらいで良いだろう」的なニオイを感じてしまいがちなのですが、彼の作品は大人がみても、十分に楽しい。これはアートだと自信を持って子どもに紹介できるのがウレシイのです。
「サカナ カナ?」「オナカ カナァ~~」という手書き文字のような、ちょっとモダンな明朝体のような、さっぱりした文字の書体も、なんともいえずかわいくて楽しい。 
 赤ちゃん向け絵本も、しつけだの、言葉だの、仕掛けだのは、そろそろ食傷気味。これくらい斬新なものがもっと出てきてもいいですよネ。

top

Copyright © 2010 Kazue Ohdaira All Rights Reserved.文章の無断転載をお断りします。