「ふたりはきょうも」
★★★★★

アーノルド・ローベル作 三木卓訳
文化出版局
1980年

親友のがまくんとかえるくん。
ある日、かえるくんが
「ひとりになりたい」と言い出した。
その理由にナミダなのデス


昔、図書館かどこかで、この表紙を見たことがあったのだけれど、
なんだか自分には早いような気がして
借りなかったという記憶があります。
なぜ、そのときそう思ったのか、よくわかりません。でも、この年になって
この本と巡り会えたことを幸運に思います。
なぜなら、言葉の一つ一つが心に響き、よく理解できるから。子どもの私にも
それなりに響いたでしょうが、ここまで心を動かされたかどうか。
仕事の打ち合わせをしていて、私よりずっと若い編集者の女性が
「子どもの頃から大好きだったんです」と、この本の話をしてくれました。
彼女の「大好き度」が、他の本と全然違うような熱さをもっていて、ただごとではないぞと直感がはたらきました。いつか読みたいなと言ったのを
彼女は覚えていて、
ある日、「これどうぞ」と、不意にプレゼントしてくれたのです。
とても感激して、一人で通読。
がまくんと、かえるくんだなんて、間違えやすそうな名前だなとか、絵を見ながらどっちがどっちがわからないなあなどと思いながら、読んでいたのですが、最後の1章で
胸がカーッと熱くなり、心が震えました。
最後の3ページにこの本のすべてがつまっていて
それは、一本の長編映画を見たと同じくらい、いえ場合によってはそれ以上の深い感動をもたらしてくれます。

その最後の章のタイトルは『ひとりきり』。親友のかえるくんが「ひとりきりになりたいのです」と、メモを残して行方をくらまします。
がまくんは探し回り、やっと川の真ん中の島で、ひとりでいる友達見つけ・・・。
この先は、どうぞご自分でたしかめてください。かえるくんのひとことにきっと落涙するはずです。
5歳の娘にわかるだろうか、とおそるおそる読みました。初めて読んだ夜、娘はしばらく黙ってそっぽを向いていました。のぞいてみると、目にうっすら涙が。
「がまくん、会えてよかったね」
かすれた声でつぶやいた、その表情が忘れられません。
あしたも、あさっても。
来年も、10年先も読み続けたい絵本です。

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