堀道広さんマジック

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昭和式もめない会話帖 (中公文庫)

新刊『昭和式もめない会話帖 (中公文庫)』のイラストは、堀道広さんです。当初から、編集者の石川由美子さん(中央公論新社)から、「絶対この方がいいと思いますっ」という熱い思いがビンビン伝わってきていた。
もちろん私もお願いしたいと思ったし、だいたいそういう編集者の思いが溢れんばかりのときは、それにのるのが最善で、いい結果になると、これまでの経験でわかっている。
果たして、堀さんは、小津安二郎や成瀬巳喜男、黒澤明の映画のフレーズを、それはもう見事に自分流に解釈して、シュールにイラスト化してくださった。上がってくるラフがこんなに楽しみだったのも久しぶりだ。

本書は『昭和ことば辞典』(ポプラ社 2013年)を加筆して文庫化したものだが
イラストを通して、本が生き返った思いだった。
言葉は、ときに、時代に応じて解釈を変え、死んだり、生き延びたりする。
堀さんの解釈で、
「いい女ですね。食欲が湧く」
「吹くわね、坊やのくせに」
などというセリフが、いきいきと、息を吹き返すのをまのあたりにして
リインカネーションという言葉を思い出していた。

早すぎ。

試験が終わった翌日、娘の部屋から『センター試験 英語』と『センター試験 国語』がゴミに出されていた。
合格発表まだだし、一般試験まだあるし。
いくらなんでも、そんな断捨離は早すぎです。

長年の夢

昭和式もめない会話帖 (中公文庫)

本日、新刊発売です。
『昭和式もめない会話帖』 (中央公論新社)中公文庫

『昭和ことば辞典』(ポプラ社)に、書き下ろしエッセイを加え、文庫化されました。
旅の相棒にしてもらえる文庫は、ライターとして独立した23年前からのひとつの夢であり
25冊目にしてようやくかない、感慨深く思っています。

小津安二郎、成瀬巳喜男など、昭和の映画から、失いたくない美しい言葉を抽出。
相手を叱ったり、ノーというときも、先人の言い方は美しくてそつがない。
なんでもかでもはっきり言えばいいというものではないし、
「ご近所さん」「世間」という狭きしがらみが
あった時代だからこその、知恵と配慮の文化。
昭和の時代の人間力を1冊にギュッととじこめてみました。

「たとえ揉めても、付き合いはその後も続く。
今はなんでもはっきり言うことがいいとされやすいが、最後まで言いきらないことで、
人間関係を緩やかに保つのも生きる知恵の大切なひとつであろう。」
〜はじめにより〜

信州お茶請けも、紙も、弁当も、昭和ことばも、そして原爆科学者の証言も
私の中では同じ興味のベクトル上にあります。
それは「失いかけているけれど、けして失ってはいけないもの・価値観」であること。
すべて記録しておきたいテーマです。

ぜひあなたの通勤通学、または旅のお供にどうぞ。