原爆化学者の叫び

「自分たちはナチスを倒すために原爆を開発した。小さな島国の民家が密集した地に、無警告で原爆を落とすべきではない。女性子どもを含む民間人を無差別に殺してはいけない」と、
原爆開発科学者70名が署名をし、
トルーマン大統領に軍事郵便で提出した。
が、途中、軍人の判断で、その署名は大統領のもとに届かなかった。

私は2016年、署名をした科学者を訪ね、米国に渡った。
「自分は自分の任務を遂行しただけ。罪悪感はもっていない」と答えた老化学者はしかし
終戦の翌年、原子物理学を捨て、生物物理学研究に転向していた。

著書『届かなかった手紙』(角川書店/2017年10月発売)は、無警告による原爆投下に最後まで反対した70名、その中心人物であるユダヤ人レオ・シラードの戦中・戦後を追った。彼もまた、戦後、生物学に転向。人を殺す兵器の研究から、人を救う研究に変えた。

本書のデザイナーの松田行正さんは、羊紙に畫かれた署名実物のスキャンをそのまま、デザインした。左隅に「TOP SECRET」の印がある。署名リストの機密解除がされたのは、戦争から12年後のことだ。
届かなかった叫びが、カバーのサインからも伝わる。

今日の『天声人語』(朝日新聞)に、この署名について綴られています。ぜひご一読を。

届かなかった手紙 原爆開発「マンハッタン計画」科学者たちの叫び